外国人料金が（未だに）存在するタイのゴルフ場

タイのゴルフ場には、タイ人より高額な外国人料金を設定している所があること、知っていますか。例えばタイ人のグリーンフィーは500バーツなのに対し、外国人は800バーツといった具合です。これって意外と知らない、または気付かない人が多いのではないでしょうか。

気付かない理由は、ゴルフ場の受付に仕組まれた表記方法にあります。料金がタイ語の数字（0=๐、1=๑、2=๒、3=๓、4=๔、5=๕、6=๖、7=๗、8=๘、9=๙）で書いてあったり、料金表の横にタイ語で小さく表記したり、外国人にわかりにくいようにしているからです。「それってタイのお寺や観光地でよくある、外国人入場料と同じだ」と思った方、全くその通りです。

一昔前は、受付の料金場にFOREIGNERと大きく書かれたゴルフ場がたくさんありました。外国人料金を設定するのが一般的だったのです。ところが2000年頃から外国人をターゲットにした高級志向のゴルフ場が増えはじめ、その影響から他のゴルフ場も料金を一律にするようになったのです。そして料金を変更しなかったゴルフ場は、大っぴらに表記しなくなりました。はっきりした数字はわかりませんが、現在、外国人料金を設定しているタイのゴルフ場は全体の2割ぐらいではないでしょうか。

そうは言っても、外国人料金を設定しているゴルフ場を批判する外国人はほとんどいません。英語を話せる受付を雇ったり、様々な外国人向けサービスを提供しているゴルフ場が多いからです。タイだから仕方ないと思っている人もいるでしょうけど。。。

コロナ禍での外国人料金設定に疑問の声

ところがコロナの影響で外国人旅行者がタイに入国できなくなったときは、状況が変わりました。タイ人限定の割引プロモーションを投稿する一部のゴルフ場のSNSに、タイ在住の外国人から批判コメントが目立つようになったのです。

「タイで働き、タイ人同様に税金を収めている我々外国人が、プロモーションの対象外になるのは間違っている」
「外国人観光客と区別するならまだ理解できるが、我々はタイで生活をしている。だからタイ人と同じサービスとプロモーションを受ける権利があるはずだ」

個人的には、これらのコメントは的を射ていると思います。コロナ禍において、タイ在住の外国人はタイ人と同じカテゴリーであるべきで、観光客とは明らかに異なります。またこのプロモーションを企画したゴルフ場が外国人向けサービスを充実させていなかったことも、批判が広がった原因かもしれません。（注）これはごく少数のゴルフ場で、ほとんどのゴルフ場は「タイ国籍とタイ在住の外国人向けキャンペーン」というタイトルで、一律料金のプロモーションを実施していました。

SNS炎上寸前になる事件が発生

そして、あわやSNS炎上となりかけた事件が起きました。2021年5月、タイの有名観光地にあるAゴルフ場が、『新型コロナウィルスのワクチン接種をしたタイ人はグリーンフィー無料』というプロモーションを公式フェイスブックに投稿したのです。タイ語だったものの、内容を理解したタイ在住の外国人から非難が殺到しました。

「これは差別以外の何ものでもない。何故ワクチン接種をした外国人は含まれないのだ」
「ワクチンの多くは私の国が寄付したもの。その接種をタイ人に優先させたというのに、その見返りがこれか！許せない」
「自国に長期間帰れず精神的に深いダメージを受けているというのに、こんな差別的なプロモーションを行うゴルフ場には2度と行かない」
「このゴルフ場をボイコットすべきだ」
「そうだ。ボイコットを拡散しよう！」

これらのコメントに対して、Aゴルフ場からの返信は一切ありませんでした。

それからしばらく経った9月1日、Aゴルフ場はプロモーションの内容を変更。グリーンフィー無料の対象に「ワクチン接種をした外国人」を加えました。しかしながら、それで問題が収束することにはなりませんでした。プロモーション対象者に外国人を加えたのは、政府がこの観光地に外国人観光客を受け入れる意向を発表した直後だったからです。それを裏付けるように、プロモーション対象者は「タイ在住の外国人」という記載ではなく、単なる「外国人」でした。

非難コメントは止まらず、Aゴルフ場はその後プロモーションを中止。SNSの投稿も削除されました。現在は新しいプロモーションを展開していますが、「このゴルフ場の会員権を手放したいから、誰か興味あれば連絡くれ」なんて英語のコメントが未だに投稿されているので、外国人ゴルファーが戻ってくるのには時間がかかりそうです。