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畑岡奈紗から学ぶ、14本のアプローチ

新年にWOWOWで放送された番組「新たに見つけた私 畑岡奈紗・渋野日向子」。この中で印象に残ったのが、畑岡奈紗が2020年の成果として挙げた”クラブ選択のバリエーション”だ。

彼女は長い期間、アプローチに悩んでいたという。欧州、アジア、米国の芝や気候の違いに対応しきれず、前週プレーしたコースの感覚を引きずることもあり、アプローチを打つときに良いイメージが沸かなかった。だがある日、イメージが沸かないのはアプローチで使うクラブが数本しかなく、バリエーションの幅を自ら狭くしていたことが原因だと気づいたという。

「14本のクラブを全て使ってアプローチを考えるようになれた」

その発見と練習が試合で実を結んだのが、KPMG全米女子プロゴルフ最終日の10番ホール。畑岡の2打目は砲台グリーンの右へ外れた。ボールからグリーンエッジは1メートル以上高さがあり、そのエッジからピンまではさらに10メートルくらいの上り。もしショートしたらボールが傾斜で戻されてグリーン外に出てしまうような形状だった。

「いつもならサンドウェッジでどう打つか考えるのですが、下が少し濡れていて、ハイブリッドが一番良いイメージだったので選びました」

畑岡はハイブリッドをパターのように数回振って、傾斜グリーンの上を転がる架空のボールを想像した。その様子はテレビ中継ではっきり映っている。アドレスに入るとすぐに打った。若干強めに打ったように見えたボールは勢いよく転がりピンの右側を通り過ぎた。だがその先の上り傾斜でスピードが減速し、ボールが動きを止めると、今度はゆっくりと傾斜を下り始めた。そしてスルスルとピンに向かって戻ってきて、ホールから数センチでボールが止まった。

「ボールとピンの線上にスプリンクラーがあったので、ピン奥の傾斜を使って右から迂回させたんです」

私のようなアマチュアにはこんなイメージをすることは不可能だが(そもそもこんな難関コースでプレーすることさえ絶対にないが)、彼女の言葉から学べることはたくさんある。

ボールのライが最も変化するのはアプローチだ。フェアウェイ、ファーストカット、ファーストカットとラフの間、浅いラフ、深いラフ、順目(逆目)、浅い(深い)バンカー、硬い(柔らかい)砂、湿った(乾いた)砂、左足上がり(下がり)、右足上がり(下がり)、つま先上がり(下がり)など、書き出したらきりがない。さらに、ボールとピンの線上には畑岡の例のようにスプリンクラーがあったり、バンカー、池、木があることもある。それなのに、私はセカンドでグリーンを外すと、何も考えずにウェッジをバッグから取り出し歩き始めてしまう。。

知識としては頭に入っている。タイガーウッズがグリーンエッジから3番ウッドで寄せたことは知っている。昨年SIMハイブリッドを買ったときも、ゴルフユーチューバーThe Average Golferがこのクラブはアプローチにも活用できると動画で実践していたのを覚えている(下の画像参照)。だが昨年のラウンドで私がSIMハイブリッドを実際にアプローチで使った回数は、、、ゼロだ。

https://www.youtube.com/watch?v=soQFOG0AxxM&t=205s

畑岡が言うように、日頃から14本でイメージしたり練習しないと、実戦では使えない。使おうと思えない。だから私は慣れている51度と56度を手に持ち、ピンがグリーンエッジから遠く上り傾斜なら51度、近いなら56度を選ぶ。バリエーションは2つしかない。畑岡は14本xα=∞。多いほうが良いスコアになるに決まっている。

ということで、私は今年からグリーン練習場でウッド、ハイブリッド、アイアン、パターも使ってアプローチ練習を始めた。するとクラブバリエーションとは直接関係ない、重要なことに気がついた。それは自分がいつも使っているボールだとアプローチのイメージがしやすいこと。打感もボール弾道も転がりも、レンジボールとツアーボールでは全くの別物。だからフルスイングの練習は仕方ないとしても、短いアプローチは自分のボールで練習を積まないと、様々なクラブで打った感触と結果が実際のコースで再現されない。イメージの段階でもう間違っているから。

アプローチは考えれば考えるほど奥が深い。そこが面白くて難しいところだ。

一ヶ月の練習を積んだ後のゴルフ場での実践編は下を読んでください。

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